日本人の悩みで圧倒的に多い鼻翼幅を狭くしたいという希望に対しては、今までなかなか良い方法がありませんでした。そこで、当院が開発したのがエーラー・フラップ法です。一般的な方法では切除するべき軟部組織を残し、鼻翼を中央に寄せる力源として利用し、最小限の切開で鼻翼幅を大幅に減少させる方法です。鼻翼幅を狭くしたいという希望が多い日本人にとっては最適且つ画期的な方法です。
”鼻翼”とは聞きなれない言葉かもしれませんが、”小鼻”のことを言います。
鼻翼形成術の目指すゴールは、手術後の痕跡が目立たず、できるだけ左右対称で自然な形態です。
鼻翼の形態はさまざまで、個々の患者様に応じて術式、デザインを選択する柔軟なアプローチが要求されます。同一患者様の左右の鼻翼で、術式、切除位置、切除幅が異なるなんてこともしばしばあります。その意味では“鼻翼形成術”という普遍的、画一的な手術法は存在せず、個々の症例に応じて最適な術式を選択することになります。
術前診察の際には、鼻翼だけを評価するのではなく、顔全体における鼻のバランス、鼻の中での鼻長、鼻幅、鼻の高さ、鼻尖との大きさの比率、鼻柱と垂直(上下)方向の位置関係(ACR)など相対的評価も重要です。
鼻翼手術を単独で行った場合、かえって他部位とのバランスを崩すことも少なくありません。例えば単独で鼻翼縮小を行った場合には、両側から鼻翼が引き寄せられることになり、鼻尖が丸く、太くなることがあります。鼻尖幅、鼻翼幅のバランスを術前に評価し、必要に応じて両者を同時に行うことにより良い結果を得られるのです。
鼻翼手術を希望される患者様の希望は以下のようなものです。
1)鼻翼幅(鼻翼部最大幅)を狭めたい
2)鼻翼の側面の強い張り出し(彎曲)を弱めたい
3)鼻孔(鼻の穴)の大きさ、形態を改善したい
4)鼻翼、鼻孔の左右非対称を改善したい
5)過去に行った鼻翼縮小手術の2次修正(傷跡、不自然な形態など)
正面からの鼻翼の評価では、
1) 鼻翼幅と目頭間距離との比較を行います。日本人女性の場合には目頭間距離は平均35mmであり、鼻翼幅はそれと同等かやや大きめが理想的で、37mmを目安とします。
2) 鼻尖の太さと鼻翼幅のバランス(鼻尖幅は鼻翼幅の約3分の1が理想的)
3) 鼻翼基部(付け根)と鼻柱基部の垂直方向での位置関係が重要です。
また軸位での評価も重要で、鼻翼側面、nostril sill、鼻孔の大きさ・形態と相対的な関係を正確に把握します。
さらに斜位、側面では鼻翼自体の大きさ、鼻翼付け根と鼻柱との相対的関係を評価します。
1) 鼻翼幅(平均は約37mm),
2) 鼻翼(alar lobule)の大きさ、張り出し(alar flaring)
3) 鼻孔の大きさ、形状(縦長、横長等)
4) 鼻尖幅(必要に応じて同時手術を検討)は必ず評価したうえで、術式を決定する。
5) 鼻翼の左右差:どのような左右差があるのか?
6) 鼻翼の付着位置(垂直方向):鼻柱との関係(ACR)の評価も行います。
術前には、鼻翼のどの部位を変化させ、どのように調整するかを鼻翼形態、鼻翼幅を考慮に入れながらデザインします。歴史的にもさまざまな術式が報告されています。
鼻翼形成術は通常以下の2つの手術のどちらか単独、あるいは組み合わせて行われることがほとんどです。
1) 鼻孔内・前庭部の皮膚切除:Nasal base reduction(鼻翼の幅を小さくする)
2) 鼻翼alar lobuleの皮膚切除:excess alar flaring correction(鼻翼の張り出し・弯曲を減じる)
鼻翼形成術のなかでは最も希望が多い手術です。鼻孔底・前庭・nostril sillの切除により、鼻孔を縮小しながら鼻翼幅を縮小することになります。
一般のクリニックで行われている鼻翼幅縮小術では、鼻孔底(前庭部)の組織を紡錘型に切除するシンプルなものですが、結果として鼻翼幅はほとんど変わらないこともあります。
その理由は、切開線より中央側(鼻柱側)の皮膚は可動性が良いが、外側の皮膚は頬部と連続しているため可動性に乏しいため、縫縮することにより鼻翼が内側に引かれる(狭くなる)というより、可動性の良い鼻柱側皮膚が外側に引かれることになるためです。
そこで鼻の横幅を減らすため当院では独自の方法(エーラーフラップ法)を開発して、日本美容外科学会で発表を行い、多くの先生から賞賛を得ました。
東京院 院長広比の開発した鼻の手術法に関する論文
『Alar Cinching with Subcutaneous Flaps: A Procedure to Achieve Narrowing of the Nasal Base While Controlling
the Alar Axis and Sidewall Curvature.』が美容形成外科における世界最高峰のジャーナル『Plastic and Reconstructive Surgery』(米国Wolters
Kluwer Health, Inc.)2018年11月号に掲載されました。
当院で行っている鼻翼幅縮小術は、通常であれば紡錘型に切除するべき皮膚を切除せず、反対側に通じる皮下トンネルを作ってこの皮弁(表皮は切除します)を対側に引っ張って、反対側鼻孔底の皮下組織に縫合する方法です。やや手技は煩雑ですが、後戻りもなく鼻翼幅縮小効果を確実に高めています(日本形成外科学会、日本美容外科学会発表済み)。
なお本法の適応に関する注意点として、鼻翼幅縮小効果が強いため、鼻尖とのバランスを術前に比較、検討して、鼻尖縮小も同時に併用すべき症例が少なくありません。手術前より鼻尖、鼻翼とも太い場合には同時手術をお勧めいたします。
鼻翼が頬の付け根より外側に広がっている場合をalar flaring(フレア)と言います。側面が過度に長い、大きな鼻翼(alar lobule)に対しては、鼻翼外側の皮膚を切除することになります。
皮膚切除後に左右で同じ長さが残るように切除幅をデザインします。
症例によっては左右の切除幅は必ずしも同じではありません。鼻翼手術全般に言えることであるが、デザインの際に“何ミリ切除するか”ではなく、“術後に何ミリ残すことにするため、切除量は何ミリにする”という考え方が、自然な形態で、左右差の少ない鼻翼を形成するためには重要なのです。
鼻翼ー頬結合部(Alar-facial
junction)より0.5~1mm離して、切開線をデザインします。鼻翼全長で三日月型に、通常3mm×12~15mmで皮膚を切除します。創の縫合には細心の注意を払って、5-0PDSで中縫い、7-0黒ナイロンで縫合します。
縫合線は、alar-facial grooveに一致させずに0.5~1mmほど離す理由は、その方が傷跡が目立たないからです。
実際には個々の症例に応じて、鼻翼基部(皮膚側)切除と鼻孔底切除(前庭部皮膚切除)の2つの手技を組み合わせることも少なくありません。Alar flaring(フレア)で、かつ鼻翼幅が大きい症例では、先に述べたalar
deepithelialized flap法を同時に行いますが、その際には側面と前庭部の皮切デザインは別々に行うことによって術後形態の予想がつきやすく、安定した結果が得られるます。
鼻翼の尾側位置異常(下がりすぎている)は、横から見た際に鼻翼が覆いかぶさって鼻柱が見えず、鼻が短く見えます。決して形の良い形態ではありません。鼻翼基部を頭側に移動し、collumelar-alar
triangle(三角)を形成するとバランスが良くなります。当院で行っている方法は、独自の方法で他のクリニックでは行っておりません。
はじめに鼻翼の尾側を切除し、
皮弁をスキンフックで保持しながら底面(頬)からを頭側方向に剥離挙上します。
底面側で最大幅3mmほど軟部組織を水平方向に切除し、
さらに底面で垂直方向(頭側―尾側方向)にマットレス縫合をかけて頭側に移動するように縫縮します。
その際吸収糸を使用し、水平マットレス2針縫合している。
本法は下垂している鼻翼の尾側を切除することによって基部をわずかですが挙上させることと、ベース側で組織切除した上でマットレス縫合によって基部下端を挙上することを組み合わせています。
鼻翼縮小術には、さまざまな術式が存在します。日本人に多い鼻翼幅を狭くしたいという希望に対して、今まであまり良い方法がありませんでした。そこで当院が開発したのが、エーラー・フラップ法です。
エーラー・フラップ法は、一般的な鼻翼縮小術では、鼻翼が不自然な形態になるという欠点を改善し、最小限の切開で大幅に鼻翼幅を減少させることができる画期的施術です。一般的な方法では、切除する皮膚を利用して、左右の鼻翼を中央に寄せます。糸のみで寄せるのではありませんから後戻りがなく、大きな変化が得られます。基本的に鼻に穴の内側から行なう手術ですので、傷が表にでません。但し、鼻翼の張り出しが大きい場合は、切開線を外に伸ばして皮膚を一部切除して張りを小さくすることもあります。第49回日本形成外科学会総会にて発表し注目されたオリジナルの施術です。
術前
術後6ヶ月