超音波骨切器~ピエゾサージェリー | 美容整形手術ならリッツ美容外科東京院

超音波骨切器
~ピエゾサージェリー

格子状デザイン 格子状デザイン

超音波骨切器~ピエゾサージェリーとは

超音波骨切器~ピエゾサージェリー

3次元超音波振動によるピエゾサージェリーテクニックの出現は、骨切りの際に従来の電動ボーンソーにはない様々な有利点があります。超音波は、骨組織を切削すると同時に、軟組織の侵襲を少なく抑えるように開発されています。24,000 ~ 29,000Hz の高周波振動と、低周波との切り替えにより、効率よくかつ抑制の効いた使用が可能です。


  • 繊細な骨切り
    非常に高い精度の手術を可能にし、骨切り線の幅は細く、繊細な骨切りが可能です。
  • セレクティブカット機能
    軟部組織を傷つけない安全機構
  • キャビテーション効果
  • 空気の泡が弾け飛ぶ作用
    出血に妨げられず、術野を維持します。

通常、分厚い骨をカットする際には電動ボーンソー(骨鋸) が、パワーが強く短時間で骨切りを終了できるため便利です。しかし電動骨鋸は周囲に大事な神経、血管がある際には損傷の危険も大きく、取り返しがつかなくなる可能性もないわけではありません。

一方、ピエゾサージェリーでは、硬いものは振動で切ることができるのですが、軟らかいものは切ることができないのです。その性質を利用して、骨を切ることはできるのですが、周囲の血管、神経など軟部組織は切断する心配がありません。

超音波骨切器~ピエゾサージェリーの機器の種類および6つの骨切りイメージ

ピエゾは歯科、口腔外科を中心に使用されている骨切り、骨削りの器械です。その構造は超音波による振動で骨を切るわけです。歯科領域では歯槽骨など繊細で薄い骨を扱うため、また歯へのダメージを可及的に少なくするために各施設に広く普及しています。一方整形外科、形成外科などでは対象とする骨が厚く、ハイパワーの器械が必要なため電動器械と比較して、超音波器械ではパワーが不足するために不向きで普及はしていませんでした。

私は、それぞれの特徴を生かすべく骨切り部位に応じて電動、超音波切削器を使い分けています。形成外科、美容外科ではほとんどといって普及していないピエゾが私の行う顔面輪郭形成術、顎矯正手術で如何に有用なツールであるかを解説します。

まずピエゾの大きな有利点を挙げますと


  • 先端がデリケートで様々な形態のチップが手に入ります(チップとは鋸の歯みたいなものです)。このチップにより電動骨鋸では不可能な細い幅で骨切りが可能です。また骨切り面のダメージが非常に小さいので骨断端同士の癒合に有利です。
  • 超音波は硬い組織は切れるのですが、柔らかい組織を切ることが苦手です。実際の手術においては骨切り部位の周囲には筋肉、脂肪のほか、大変重要な神経、血管が存在しています。電動骨鋸ではこれらの重要血管、神経を損傷する可能性があるため、使用できない部位があります。その点ピエゾは周囲組織には気を使わずに使用できるわけです。これは重要な神経、血管が隣接して走行している顔面骨切りをおこなう上では非常なアドバンテージです。

当院でピエゾを利用する 代表的な手術は以下のものです。どの部位でどのように使用しているかを説明することによってその優位性が理解されるかと思います。

1. 下顎角(エラ)

下顎形成術おいて、正面顔でほっそりとした卵形の形態を形成する際には、下顎骨の外板(外側皮質骨)を切除すると効果的です。切除範囲は上方は下顎枝の咬合平面の延長上であり、前方は外斜線の延長でオトガイ孔の1㎝ほど外側に設定します。外側皮質骨を外す際に、下顎体部から分割切除しますがその際にピエゾを使って、境界の皮質骨にカットを入れます。ピエゾは皮質骨を抜けた瞬間に手ごたえですぐにわかります。電動骨鋸ではこの繊細な感覚がないため、またピエゾのように細い骨切りラインとならないため、外側皮質骨内でカットしてしまうことも多いのです。

また垂直方向の骨切りの際に、下歯槽神経が髄質内を走っているわけです。この神経を損傷してしまいますと下口唇からオトガイにかけて知覚鈍麻や痺れが出現します。これはもっとも避けなければならない合併症であります。ピエゾは柔らかい神経を切断する可能性はほとんどありませんのでその意味でも安全に骨切りを行えます。

2. 頬骨

頬骨を縮小する際には、通常耳前部で頬骨弓の骨切りを行います。この骨切り線に私はこだわりがあります。一般的にもみあげの後ろ側を小さく切開して、ノミで骨切りを行っている施設が多いようですが、これには反対です。まず確実な顔面幅縮小を行おうとするのであれば、この部位はしっかり骨固定をすべきです。そのためには1㎝の切開では無理です。この部位で骨固定を行いませんと運よく内側に骨片が落ち込めば顔幅が小さくなるのですが、側頭骨との間に段差ができることになります。この段差は意外に気になるものです。ときに骨切り後の頬骨弓は外側にはねることもあります。これでは手術後に顔面横径は拡大し逆効果になってしまいます。

次に2㎝ほど切開して、骨をプレートで固定するとした場合ですが、電動骨鋸では頬骨弓に対して垂直方向の骨切りとなります。骨固定する際にはたとえば7㎜内側転移させたとすると、プレートを階段状にベンディング(曲げる)して固定を行うことになります。これでは段差が明らかですので、外科医側は控えめな内側転移を行うわけです。また段差にならないように側頭骨側の骨を削ればよいのではないかとお考えの方もいらっしゃると思います。しかしこの部位では皮質骨は薄く、もしラウンドバーなどで削ってしまうと、プレート固定の際のスクリューが効かなくなり、固定そのものができなくなってしまうのです。前置きが長くなってしまったのですが、ここでピエゾの存在が活きてくるのです。また切開位置も問題になります。私の行う切開線の位置は、耳の輪郭に沿った位置ですが、特徴は直視した際に骨切り、骨固定が行えるということです。

ピエゾは繊細な骨切りが可能ですが、この部位で骨切りラインの少し前方に顔面神経側頭枝があります。この神経を損傷してしまったら、眉毛が下垂して、目つきが悪くなり顔貌の左右差が著明に出ます。間違っても損傷してはならない神経です。

骨切りの方向に関しては3次元的な理解が必要です。まず頬骨弓の側頭骨・頬骨突起の基部の形態ですが、捻じれていますのでその厚みを利用して、ピエゾによりsplitして切除していきます。これにより突出部位は可動側の骨片にくっつき内側転移することになります。また垂直方向の骨切りと違って骨接触面積が大きくなり骨癒合に有利です。ということは後戻りが少ないということです。

また遊離骨片側はたるみ防止のために内方転位と同時に頭側転移させたいのですが、それも可能になります。すなわち術後の頬のたるみを防止できるのです。

超音波骨切器

以上のようにピエゾによる頬骨弓骨切りを行うことで様々なメリットが生じるのです

  • 段差のない骨固定(骨をスプリットして切れる為)
  • 骨片を頭側に移動して固定できるため、頬のたるみの防止になる
  • 骨片間の接触面積が大きいため速やかな骨癒合が行われ、後戻りがほとんどない

3. オトガイ

オトガイ部では骨が厚く、全層に骨切りを行う際には電動骨鋸が有利です。前額断での骨切りに際しては、両端部で裏側に回る確実な骨切り線が必要になりますが、この部位は周囲の血管、神経を考えてもピエゾの有利性が出ています。またオトガイ孔周辺の削骨もこのピエゾで行っています。

4. 額

額が突出している前頭洞骨切りに際してはピエゾが圧倒的に優位です。繊細な骨切り線は骨癒合に有利です。また薄い前壁を切り終えた瞬間にピエゾではストップが効くため、内側の粘膜を可及的に温存することが可能となります。

5. 下顎枝矢状分割

この手術ではピエゾは大活躍です。分割前の水平・垂直骨切り、そして両者を結ぶ際にもピエゾを使用しています。ピエゾでは繊細な力が指に伝わってきますので皮質骨を抜けた瞬間がわかります。

矢状分割においては、下顎枝で外板と内板を分割するわけですが、のみで乱暴な分割を行うと様々な方向に異常骨折を引き起こす可能性があります。また電動骨鋸を使用して分割しようとすると、下歯槽管で神経損傷を引き起こす可能性が高くなります。もっとも安全なのは、ピエゾで可及的に分割を行い、それより遠位はボーンセパレーターで分割していくことです。神経損傷を限りなくゼロに可能性を近づけると同時に理想的な骨切りが行える優秀な器械です。

6. LeFortI型骨切り術

ダウンフラクチャー後に、骨片を上方に引き上げる、あるいは後方に後退させる場合には上顎結節を削骨しなければなりませんが、この部位には大口蓋動脈があり、電動器械を使えないのです。

7. 鼻骨骨切り、削り

繊細な骨切り技術が必要となります。例えばhump(段鼻) の症例では、その突出した鼻骨を削る際にラスパトリウムという手動の骨削り器械を使うことが多いようですが正確な骨削りは不可能です。一方、ピエゾでは周囲と段差をつけながら削ることで、削っている厚さを1mm単位でわかるため精密な骨削りを行うことができます。

御覧のように私はあらゆる手術の要所要所でピエゾを活用しています。そして繊細なデザインでの骨切りを行い、重要神経の損傷を避けて安全な手術を可能にしてくれるのです。



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